スピードが大事、道元歌(4)

4. 再び道元の和歌を見る

もう一度、道元の歌を見てみると、「無常迅速」がひしひしと伝わってきます。この言葉は、坐禅の最後に僧侶が終わりを告げる前に必ず読誦されます。

人は、生きている時にはその実感がわかず、死が迫ろうとする時に
怖れおののくのではないでしょうか。ひとときも疎かにはできない身でありながら、それを忘れて過ごしてしまうこともあるでしょう。

「多事を兼て、心想を整へざらん」(多方面を兼学しては、心の働きを静かにととのえることができなくなってしまうであろう。)*①

それは修行の僧のみならず、全ての人々に語りかける道元の言葉なのです。
         *出典:①正法眼蔵随聞記 山崎正一