スピードが大事、道元歌(5)

5.散らし書きは、流れるように

「あしひきの山した水のこがくれて
　　　たぎつつこゝろをせきぞかねつる」

　「あし悲きの
　　　山し多水能
こ可倶
　　　連帝

　　多支つこゝろ
　　　　乎勢き
　　ぞ可年
　　　　都累」

一行目の始まりは大きめにゆっくりと書き出して、「悲」で横の動きを出しています。一行目の「し」の余白に働きかけるように、「山」をおき、「水」「能」と漢字と変体かなで構成しています。

継色紙は、余白に差し入れる位置と終筆の方向が絶妙です。
「こ」「可」「倶」の終筆は二行目に余韻を持って働いています。

景色のように文字があらわれ、山々にかかる霧のようですね。