心楽しく遊ぶ黄庭経(2)

2. 道教とは What is Taoism?
黄庭経は道教の養生法を記したものであるが、道教とは何でしょうか。
道教は老子とそのあとを継いだ荘子によって、代表されたる思想です。その思想を
伝える重要な書物に、「老子」と「荘子」があります。

「老子」は老子と呼ばれた人物にとって書かれたとされますが、実在したかどうか
は意見が分かれるところです。それは、孔子、孟子、荀子で有名な儒家の思想とは
全く異なるものでした。

「老子」上篇 第1章
「道可道 非常道 名可名 非常名」
道のいうべきは、常の道に非ず 名の名づく可きは 常の名に非ず
『道』が語りうるものであれば、それは不変の『道』ではない。『名』が名づけう
るものであれば、それは不変の『名』ではない
                     「老子」 小川環樹訳注 より引用

ここに、道家の思想の深遠でありながら、捉え所のないという印象を持たれる方も
いらっしゃるかもしれません。でも、それはそのままにしておいて欲しいのです。
ともすると、わからないことをわからないままにしておくことは、良くないことの
ように思うでしょう。

ただ、根本の思想である「道」をとらまえようとはせずに、慌てず騒がず、その
ままにしてみてください。

      魏晋唐小楷集  二玄社   祥香臨