本阿弥切の魅力(5)

5.どういう紙に書かれていたの? What kind of the paper was used?
大きさは、各縦16.7cm 横28cmの唐紙を継いだものです。
布目打ちのある表面には、雲鶴・夾竹桃・相生唐草・花菱・唐花・唐草などの
文様が雲母で刷り出されています。

実物をご覧になると、その料紙にも魅了されることでしょう。

「ゆめとしりせばさめざらましを」
「ゆ」は「遊」を用い華やかな動きを見せています。現代でも、人気のある選字
です。「め」は「免」を使い、左の余白へ働きかけています。「と」「し」を下に
抱き込むように入れて、「利」につなげます。

「せ」は「世」が字母です。「は」は「者」を用いて「さ」から「め」とつなげて
います。「さ」「ら」と詰めて書いた後で、「ま」を「万」で広げます。「万」から
「し」へ短く連綿し、「を」は「越」を渇筆で、長めの戎で右へ張り出し、印象的
な終わりかたとなりました。