2021-10-05 / 最終更新日時 : 2021-10-04 タオ 思慕の情 わずかな移り香も(5)建礼門院右京大夫集を書く 5.恋の形見に かつて、木枕という木製の枕の上に籾殻などを入れた布製の小枕をのせ、それをおおう紙を敷いていました。その紙が涙で色褪せてしまったので、 「うつり香も おつる涙に すすがれて かたみにすべき 色だにもな […]
2021-10-04 / 最終更新日時 : 2021-10-04 タオ 思慕の情 わずかな移り香も(4)建礼門院右京大夫集を書く 4.はなだの薄様の枕が 夜遅く目が覚めて、あれやこれやと考えていると、ふと涙がこぼれてしまったのです。朝になって枕元を見やると、 「つとめて見れば、縹の薄様の枕の、ことのほかにかへりたれば」 選字は、「徒とめ弖 […]
2021-10-03 / 最終更新日時 : 2021-10-03 タオ 思慕の情 わずかな移り香も(3)建礼門院右京大夫集を書く 3.知らないうちに涙が 人知れず、ほおをつたう涙に自分でもハッとするといった経験はないでしょうか。六行目から 「いと久しくおとづれざりし頃、夜深く寝覚めて、とかく物を思ふに、おぼえず涙やこぼれにけむ、」 選字は、「い登久 […]
2021-10-02 / 最終更新日時 : 2021-10-02 タオ 思慕の情 わずかな移り香も(2)建礼門院右京大夫集を書く 2.明るくなっていく月影も 作者が月にかかる雲を見て晴れるのかしら、と上を見上げながら詠んだ歌が 「見るままに 雲ははれゆく 月かげも 心にかかる 人ゆゑになほ」 選字を、「見流まヽ爾久裳はヽ連ゆ具月か介毛 こ […]
2021-10-01 / 最終更新日時 : 2021-10-01 タオ 思慕の情 わずかな移り香も(1)建礼門院右京大夫集を書く 1.雲が晴れても 思い人につれない態度をとられ、沈みがちな作者が、 「 同じことをとかく思ひて、 月の明き端つ方にながめゐたるに、むら雲はるるにやと見ゆるにも」 選字は、「於なしこと越登可具おも飛て月の あ可記者 […]
2021-09-15 / 最終更新日時 : 2021-09-12 タオ 思慕の情 恋人の愛情が信じられず(5)建礼門院右京大夫集を書く 5.また未練が 「よしさらば さてやまばやと 思ふより 心よわさの またまさるかな」 選字は、「よし佐ら盤さてやま者や登於毛ふよ 利こヽ路よわ佐農ま多満さる可な」 歌意は、さあ、それならば、いっそ辞めてしまいまし […]
2021-09-14 / 最終更新日時 : 2021-09-12 タオ 思慕の情 恋人の愛情が信じられず(4)建礼門院右京大夫集を書く 4.あの人の面影が 「つねよりも 面影にたつ ゆうべかな 今やかぎりと 思ひなるにも」 選字は、「徒年よ利毛於も可希に多つゆふ遍かな いまや可きりとお裳日那る耳毛」 歌意は、いつもより、あの人の姿が心の中に浮 […]
2021-09-13 / 最終更新日時 : 2021-09-12 タオ 思慕の情 恋人の愛情が信じられず(3)建礼門院右京大夫集を書く 3.こちらの期待にそぐわず この頃、資盛の気持ちがわからなくなり、 「人の心の思ふようにもなかりしかば、『すべて知られず知らぬむかしになしはててあらむ』など思ひし頃」 選字が、「人のこヽろ乃於もふやう爾毛な可りし可八 […]
2021-09-12 / 最終更新日時 : 2021-09-11 タオ 思慕の情 恋人の愛情が信じられず(2)建礼門院右京大夫集を書く 2.賀茂神社の冬の月 時代によって、景色やそれを彩る季節の移ろいに対する美しさが変化していきました。源氏物語では、「冬の月の美しさ」は取るに足らないものとされていましたが、平安時代後期になると「花もみじの盛り」よりもすば […]
2021-09-11 / 最終更新日時 : 2021-09-11 タオ 思慕の情 恋人の愛情が信じられず(1)建礼門院右京大夫集を書く 1.出家した兄を思う 建礼門院右京大夫の兄は尊円法師で、比叡山に修行で籠っていました。「せうとなりし法師の、ことにたのみたりしが、山深くおこなひて、みやこへも出でざりし頃、雪のふりしに いかばかり 山路の雪の ふかから […]