夏深きころ蜩とともに(6)建礼門院右京大夫集から

6.現世がこれでは

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「さりともと 頼む仏も めぐまねば
    後の世までを 思ふかなしさ」

選字は、「佐りと裳と多の無仏も免久まね盤
     後の世まて越思布可那しさ」

歌意は、「それにしても、仏をお頼み申しておりましたが、このような目にあって
     お恵みに預かることもありませんでした。これでは来世でもあまり期待
     できそうもないと思うことが悲しいことです。」

 この時代の方としてはかなりはっきりと、神仏に対しての不満を歌ったものでしょう。
 そして、来世のことまで想像して悲しんでいるのです。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社