平重衡は茶目っ気たっぷりに(1)建礼門院右京大夫集を書いて

1.重衡の人となり

建礼門院右京大夫集 祥香書

詞書の中で平重衡が登場します。女官たちを驚かせたり、怖がらせていても、なかなか評判が良いようです。

 「など思ひ続くるほどに、宮の亮の、『内の御方の番に候ひける』とて入り来て、れいのあだごともまことしきことも、さまざまをかしきやうにいひて、歌も人もなのめならず笑ひつつ」

選字は、「なと思ひ徒ヽ久るほと耳宮の亮内の
     御方の番にさふら日介流とて入利来て
     れい農あ多こ登毛ま故としきこ登

     も佐万ヽヽ越可し支やう爾い日て我
     裳人毛奈能免奈ら寸笑ひつヽ」

鑑賞:「宮の亮」平重衡のこと。資盛の叔父。承安2年2月から治承2年12月(1172〜78)まで中宮亮でした。『平家物語』巻十に「平家はもとより代々の歌人才人達候也。先年この人々を花にたとえ候しにこの三位中将をば牡丹の花にたとえて候ひしぞかし。」とある。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社