御所の近くが火事に(5)建礼門院右京大夫集

5.雲の上に燃える煙も・・

建礼門院右京大夫集  祥香書

建礼門院右京大夫が、火事の最中の宮中を詠んでいます。

 「雲のうへは もゆるけぶりに たちさわぐ
  人のけしきも 目にとまるかな」

歌意は、「宮中では火事の煙に騒ぎ立てる人の様子までもが素晴らしくて、目にとまることです」*①

用字は、「雲のう邉八も遊流介布里二
     多遅沙わ久飛登の遣志も免
     耳とま類可奈」

安元元年乙未十一月廿日に宮中の近くで火事があった旨の記述が『清かい眼抄』に見られ、同様に『平家公達草紙』にも書かれています。

 *出典:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社