「蓮」の詩歌を臨書して(5)和漢朗詠集から

5.千葉の蓮華を

釈文:「縁何更覓呉山曲、
    便是吾君座下花」 千葉蓮

書き下し文は「何に縁ってか更に呉山の曲に覓(もと)めむ
       便ちこれ吾が君の座下の花なり」

現代語にすると「どうして今さら千葉(せんよう)の蓮華を求めて呉山の山深くまで、求める必要があるだろうか。わが君の御座の下の(屏風に描かれている)花なのに。」

鑑賞:千葉の蓮華は『法華経』提婆達多品に「爾時文殊師利、坐千葉蓮華大如車輪」とあることにもとづく。

全体に中心が通り、扁平は字形に見えるがよく和洋漢字の様を伝えている。「座」から「下」は右へ寄せて、動きが出ている。

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫