蘇軾の細楷を臨書して(8)懐素自叙より

8.積むこと歳時あり

釈文:「積有歳時。江嶺之間。其名大著。故吏部侍
    郎韋(公)師(陟)。睹其筆力。」

書き下し文は「積むこと歳時有り。江嶺の間、其の名大いに著わる。故の吏部侍郎(公)師。其の筆力を睹て」

鑑賞:懐素は張旭とともに「張顛素狂」と言われ、狂草として知られている。両者は酒に酔うと筆をとって、自由奔放に筆をふるい宋代以降、卒意の草書を尊ぶ者に重視された。

蘇軾も懐素への敬意がこの細楷につながっていると思われる。升目に収めながらも、字の大小があり、リズムが感じられる。

「歳」では左の画は控えめで右は伸びやかである。「之」は同じ字が並んだが、微妙な変化が飽きさせない。

参考文献:自叙帖 懐素 藤原有仁解説 二玄社