遠いところへ旅に出ようと(5)建礼門院右京大夫集を書いて

5.雁の一列

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「夜ふくるほどに 雁の一列、このゐたるうへを過ぐる
    音のするも、まづあはれとのみ聞きて、すずろにしほ
    しほとぞ泣かるる。」

選字は、「夜布久るほと
     に雁の一列この井堂流う遍を須久る

     音の春る裳ま徒あ者連と能美きヽ弖
     須ヽろ耳志ほ事本と處泣可類ヽ」

大意は、「夜がふける頃、雁の一列が私の泊まっていた宿のあ
     たりを雁の一列が飛んでいき、鳴き声が聞こえ、何
     よりも悲く、やたらに泣けてまいります。」

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社