1.昨年の冬から醸した 釈文：首夏「甕頭竹葉経春熟　階底薔薇入夏開」書き下し文は首夏「甕の頭の竹葉は春を経て熟す　階の底の薔薇は夏に入って開く」 鑑賞：首夏は初夏のこと。『白氏文集』「薔薇正に開く、春酒初めて熟す」詩。昔 […]

3.せっかく桜色に染めたのに 釈文：「花の色にそめしたもとの惜しければ　衣かへうき今日にもあるかな」 選字は「者那のいろ爾所めしたもとのを志介　連盤ころも可へう支今日爾もある可奈」 鑑賞：『拾遺集』夏に「冷泉院の東宮にお […]

2.すずしの夏衣がえ 釈文：「生衣欲待家人著　宿醸當招邑老酣」讃州作　管書き下し文は「生衣（すずしのきぬ）は家人を待ちて著むと欲す　宿醸はまさに邑老を招いて酣（たけなわ）なるべし」 鑑賞：「生衣」生絹の衣。「宿醸」秋から […]

1.壁へ背を向けた燈には 立夏が過ぎ、暦の上ばかりでなく初夏の訪れを感じる季節に釈文：「背壁残燈経宿焔開箱衣帯年香」白 書き下し文は「壁に背ける燈は箱を経たる焔を残せり　箱を開ける衣は年を隔てたる香を帯びたり」 鑑賞：「 […]

14.もし、うぐいすの声が 釈文：「鶯の声なかりせば雪きえぬ　山ざといかで春をしらまし」中務 書き下し文は「うぐひすのこゑなかりせばゆきヽえぬ　やまざといかではるをしらまし」 現代語にすると「もし、春の訪れを告げるうぐい […]

13.あさみどり色に澄んだ空に 釈文：「あさみどり春たつ空に　鶯のはつこゑまたぬ人はあらじな」　麗景殿女御 書き下し文は「あさみとり者るたつそらにうくひ春能　者つこゑまたぬひとはあらし那」 鑑賞：『続後撰集』春上「麗景殿 […]

12.新年の早朝に 釈文：「あらたまの年たちかへるあしたより　またるヽものは鶯のこゑ」素性 選字は「あら多まのとしたち可へるあしたよ利またるヽものはうぐひ春のこゑ」 鑑賞：『拾遺集』春に「延喜御時月次屏風に　素性法師」と […]

11.西楼に月が 釈文：「西楼月落花間曲　中殿燈残竹裏音」書き下し文は「西楼に月落ちて花の間の曲　中殿に燈残って竹の裏の音（こゑ）」管三品 鑑賞：村上天皇天暦のとき内宴の詩。村上天皇と菅原文時が、各々自作をすぐれた作品を […]

10.うぐいすが谷を出ようと 四行目の釈文：「新路如今穿宿雪、旧宿（巣）為後属春雲」管書き下し文は「新路は如今（いま）宿の雪を穿つ　旧巣は後の為に春の雲に属ふ」 鑑賞：「旧巣」底本は鶯宿につくる。こちらも道真の早春内宴の […]

9.昔の周郎のように 二行目末から釈文：「周郎之簪頻動、顧間関於新花。」管三品書き下し文「周郎が簪しきりに動いて　間関を新花に顧みる」 鑑賞：「周郎」周瑜のこと。音楽に通じて、まちがった演奏には、必ず振り返ってみたという […]