うぐいすの声にいざなわれて(9)和漢朗詠集を書く

9.昔の周郎のように

二行目末から釈文:「周郎之簪頻動、顧間関於新花。」管三品
書き下し文「周郎が簪しきりに動いて 間関を新花に顧みる」

鑑賞:「周郎」周瑜のこと。音楽に通じて、まちがった演奏には、必ず振り返ってみたという。(『三国呉志』周瑜伝)
「間関」鳥がのどかになく声。『白氏文集』琵琶行に「間関たる鶯語は花の底に滑らなり」。

現代語にすると「昔の周郎のように音律に詳しい殿上人は、首をかしげ、かんざしを揺らして、ゆったりと調子はずれな音を出しているうぐいすの方を振り返ってみている。」

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫