行書般若心経-真実不虚(1)集字聖教序より
1.是大神呪
釈文:「故知般若波羅蜜多。是大神呪。」
書き下し文は「故に知るべし、般若波羅蜜多は、是れ大神呪なり。」
鑑賞:「呪」は一般的に「のろい」というように読まれるが、仏教の専門語として用いられる場合は、大変に深遠な尊い意味を持つ。真言または陀羅尼と同じ意味で、「まことの言葉」である。
仏の言葉にはいつわりがない。夢窓国師はかつて足利尊氏を仏の道へ招いた人である。「長寿の秘訣」について「人は長生きせんと思えば、嘘をいうべからず。嘘は心をつかいて、少しのことにも心を労ぜり。人は心気だに労せざれば、命ながき事、疑うべからず」と述べる。
参考文献:般若心経講義 高神覚昇著 角川文庫