涙がとどめなく流れて(4)建礼門院右京大夫集にて
4.この世の無情が
釈文:「僧などの語るを聞くにも、なにもただ物のあはれの
ことにおぼえて、涙とどめがたくおぼゆるも、さは
どのことはいつも聞きしかど」
選字は、「僧奈と能可堂る越支九にも
那耳毛多ヽ物農あは連のこと爾於本え
てな美多登ヽ免可堂久おほゆる毛さ
本と能こと者い徒も聞ヽし可度」
大意は、「僧侶たちの話を聞くときも、何を聞いてもこの世
の無情が特別に思われて、涙が止まらず思われる
のも、そういった話は聞いていたのですが」
ただあわれに思われ、涙がとめどなく流れるのですが、この世に未練があるというわけでもないと作者は語ります。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社