顔回は旅に出たいと願った(5)荘子を書く
5.おそらくお前は刑にあうだろう
衛の国へ行って病を治したいという顔回に対して孔子はこう言いました。
「仲尼曰アア若殆往而刑耳夫道不欲雑
雑則多多則擾擾則憂而不救古之至
人先存諸己而後存諸人所存於己者未定
何暇至於暴人之所行」
意味は、「お前は衛の国へ行って死刑にあうだろう。お前が守らなければならない道は雑じりけがあってはならないのだ。雑じりけがあれば異なるものが多くなり、多くなれば乱れ、乱れれば憂いが多く、心配ごとがあるようでは他人を救うことはできない。昔の至人、つまり最高の人物
は先ず我が身の守り所をしっかりとさせてから、その上で他人にもそれを守らせたものだ。自分のところも安定していないのでは、乱暴者のふるまいにまで手をつける余裕があるだろうか。」
自らに心配な事があれば、他の人を助けたり、救ったりするどころではないでしょう。気持ちばかりが先走ってしまう恐れがあるからです。そしてこれから、人の夜で起こることがらを説いていきます。
参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店