料理人の話を聞いて君子は(2)荘子を書く
2.牛刀の刃先は今研いだばかりのよう
いかに巧みに庖丁が牛を捌くかが語られます。
「枝経肯綮
之未嘗、而況大コ乎良庖歳更
刀割也、族庖月更刀折也、今臣
刀十九年矣、所解數千牛矣
而刀刃若新發於(といし)」
大意は、牛の解体にあたっては入り組んだところでさえ、試し切りすることもありません。腕の良い料理人でさえ、一年ほどで牛刀を交換
するのだが、私は十九年も使っていて数千もの牛を料理してきましたが、刃先はまるでたった今砥石で研ぎたてのようです。
調理にあたって、無理をせずに自然の摂理に任せているからでしょう。刃先で無駄に力を入れて切断することもないのです。
参考文献:荘子 金谷治校注 岩波書店