月は所によって明るい他(3)建礼門院右京大夫集

3.山家の初雪

建礼門院右京大夫集  祥香書

「山里に降る初雪」を題として詠みます。

  「春の花 秋の月にもおとらぬは
   みやまの里の雪のあけぼの」

選字は、「春の花あきの徒支爾裳
     お登らぬは美や万乃佐と農
     遊きの阿希本の」

これは、そのまま平易に読める歌です。「みやま」は「深山」、「山奥」のことで、「春の桜、秋の月にも負けず美しいのは、雪が降った深山の里で夜明けの空が明るくなる頃ですよ」

 参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社