深まってゆく春の日に詠じて(4)和漢朗詠集を書いて

4.劉禹錫と白居易が

釈文:「劉白若知今日好 應言此處不言何」順
書き下し文は「劉白若し今日の好(ことんな)きことを知らましかば此の処とぞ言はましく何くとは言はざらましを」

鑑賞:「劉白」劉禹錫と白居易は詩友で多くの唱和詩がある。ここでは両者が「春深」という題で詩を昌和したことをふまえている。

現代語にすると「本日、文人たちが作文の会をし、暮春を楽しんでいるが、劉禹錫と白居易がもしこれを知っていたならば、かの『春深』で「此の処春深くして好き」と作り、決して「何れの処が春深くして好き」とは作らなかったでしょうに。」

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫