春の尽きるころ朗詠したい(5)和漢朗詠集より

5.もしも去り行く春の

釈文:「若使韶光知我意 今宵旅宿在詩家」
書き下し文は「若し韶光をして我が意を知らしめましかば 今宵の旅宿は詩が家に在らまし」

鑑賞:「韶光」はなやかな春の景色。または春の光。「詩が家」詩人の家。道真自身の家、の意。

現代語にすると「もしも本日、去りゆく春の光に、私の気持ちを知らせることができたなら、今年最後の旅の宿を、わが家に選ぶだろうに。」

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫