雨ふりて、つれづれなる日に(7)和泉式部日記から

7.雨が降るのは

釈文:「まちとる岸や』ときこえたるを御覧じて、たち返り、『なにせんに身をさへ捨てんと思ふらん あめのしたには君のみやふる」

選字は「ま地多流支しやとき許え多るを御覧 して堂遅かへり 『那耳世無に身を散遍須て无と思不 羅む阿免のし多爾は君農美やふ類』」

鑑賞:「まちとる岸や」溺れる身をどこかで救ってくれる岸はないだろうか、の意。「あめのした」は「雨」と「天」そかけた。「天の下」は世の中。

歌意は「どういうおつもりで増水した川に身を任せようとお考えなのでしょうか。この雨があなたのところだけに降っているわけではないように、世の中でつらい思いをしているのはあなただけではないのですよ。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社