雨ふりて、つれづれなる日に(2)和泉式部日記から

2.身のあればこそ

釈文:「すきごとする人々はあまたあれど、ただ今はともかくも思はぬを、世の人はさまざまにいふめれど、身のあればこそ、と思ひてすぐす。」

選字は「春き許と寸る人々者阿ま多 あれと堂ヽ今者登毛か久裳於も八 努をよ能飛とはさ万ヽヽ耳言婦免連度身農阿れ者こ楚と思比て須久寸」

鑑賞:「身のあればこそ」は「いづ方にゆきかくれなむ世の中に身のあればこそ人もつらけれ」『拾遺集』恋五を引用する。歌意はどこ行ってわが身を隠そうか。この世にいる限りつらい思いをするのだ。」

大意は「言い寄ってくる人は大勢いるけれど、ただいまはともかくもいろいろというけれど、『この世にとどまるからつらいのだ』と思って過ごす。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社