辯才老師へ贈った詩を臨書して(2)蘇軾の書
2.風篁嶺とは
釈文:「軾往見之。常出至風篁嶺。左右驚曰。」
書き下し文は「軾 往きて之に見ゆるに、常に出でて風篁嶺に至る。左右 驚きて曰く」
鑑賞:「風篁嶺」は西湖の南西に位置する霊石山の南西にあるとうげ。嶺はとうげが本来の義。さきが密生していて風が吹くと音を立てるのでこの名があると言われる。
「左右」は辯才老師の近くにいる人々。
書風:「特に気負いもなく書いているが、筆端まで行き届いた線は堂々としている。「軾」は上の字を意識してか、小ぶりの書き方だが、終画のはねは躍動的で思いっきりが良い。
筆の弾力を十分に活かした運筆で「出」を書き、「風」はまさに風をはらんだように軽やかで悠々としている。「驚」は上部の重さを下部の「馬」の終画が巧みにバランスをとって俊敏な書き振りである。
参考文献:蘇軾集 二玄社
蘇東坡詩選 山本和義選訳 岩波文庫