辯才老師へ贈った詩を臨書して(3)蘇軾の書

3.高僧慧遠の故事

釈文:「遠公復過虎(渓)(矣)」 

書き下し文は「遠公 復た虎(渓)を過ぎたり、と。」

鑑賞:「遠公復過虎渓矣」は晋の高僧慧遠の虎渓三笑の故事(『廬山記』)にもとづく。慧遠は廬山東林寺にこもって安居禁足し、その下を流れる虎渓を渡ったことがなかったが、尋ねてきた陶淵明・陸修静を送って、つい渡ってしまった。これに三人が大笑いしたという。

これに基づき、辯才を遠公すなわち慧遠に見立てて言った。前述の故事は史実ではない。

参考文献:蘇東坡詩選 山本和義選訳 岩波文庫