五節の行事に往時をしのぶ(2)建礼門院右京大夫集より
2.霜がひんやりと降る夜は
釈文:「霜さゆる 白薄様のこゑ聞けば ありし雲ゐぞ まづおぼえける」
選字は「志裳佐ゆる白薄様のこゑ記介者 阿里し雲ゐ曽ま都おほえ希る」
鑑賞:「霜」と「白」は縁語。この場合、「霜」の照応により「白」が表現効果を増して使われている。両者は意味上、縁のある言葉である。
歌意は「霜がひんやりと降る明け方に白薄様を歌う声が聞えてくると、かつてお仕えした頃の宮中の様が思い浮かんでくる。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社