五節の行事に往時をしのぶ(3)建礼門院右京大夫集より

3.昔の犬に似た

釈文:「とにかくに、物のみ思ひ続けられて見出したるに、まだらなる犬の、竹の台のもとなどしありくが、昔、内の御方にありしが、」

選字は「とに可九耳物農み思ひつヽ希ら連て 見出し多流二ま堂羅奈る犬乃竹の台 能毛と那と志阿利久か昔内の御方爾あ利し可」

鑑賞:「竹の台」は清涼殿の東庭にある河竹の台および呉竹の台

大意は「あれやこれやと物思いを続けて、局から外を見ると、まだらな犬が清涼殿の竹の台の下あたりを歩き回っている。昔、高倉帝に飼われていたが」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社