うらやましい七夕の二星の恋心よ(6)建礼門院右京大夫集から

6.岩枕の塵を払って

釈文:「うちはらふ 袖や露けき 岩枕 苔の塵のみ ふかくつもりて」

選字は「う地者ら布袖や露け支い者満久ら こ遣の千里能美ふ可供川毛利弖」

鑑賞:「うちはらふ」では「地」で広がりを持たせた後で、「布」まで縦の流れを強調してリズミカルに動かしている。「袖」や「露」といった漢字を用いることで凝縮した塊を表している。

二行目では縦に伸ばすところが重ならないように、心を配り変化をつけている。「供」の下に「川」を置き自然に字幅が狭まるように運筆している。

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社