酒に対す其のニ(1)白居易漢詩を書く
1.かたつむりの角の上で
作者は白居易、字は楽天。詩は作者五十八歳頃で五首のうち第二首。
「蝸牛角上争何事
石火光中寄此身」
書き下し文は、「蝸牛角上何事をか争う
石火光中此の身を寄す」
鑑賞:「蝸牛角上の争い」とは、つまらない争い。『荘子・則陽』の
たとえ話に由来しています。「蝸牛」はかたつむり。その左の
角に国を持つ触氏と右の角に国を持つ蛮氏が、ある時領地問題から
戦争をした。戦死するものが数万人も出て、敗走する者を追っ
たりして十五日ほどして引き返したという。このことから、狭い
世界での争いのこと。
現代でも地球という狭い世界で争うことの愚かさを示しているのでは
ないでしょうか。
参考文献:白楽天100選 石川忠久著 NHK出版