山中にて幽人と対酌す・李白(5)秋艸道人書を臨書して

5.会津八一記念館

祥香臨

秋艸道人、「會津八一記念館」が新潟市にあります。すぐ向こうに海が見える静かな場所にある、白くモダンな建物です。中へ入ると、数多くの會津八一の作品を見ることができます。

會津八一は明治39年(1906)に早稲田大学文学部を卒業後、新潟県で教師となります。
1908年から、奈良の古寺をめぐり短歌の創作を始めます。1910年に早稲田中学に転任して、奈良美術の研究に励み、短歌を作ります。

1924年に、歌集『南京新唱』を発表します。
1933年には『法隆寺・法起寺・法輪寺建立年代の研究』で文学博士の学位を受けます。
還暦の年には、銀座鳩居堂にて書の個展を開き図録も発刊しています。

英語の教師からキャリアを始めた八一ですが、東洋美術には慧眼の士であり、独自の歌風と書風をもって新境地を開拓しました。新潟の地域文化の振興にも尽力し、当地に残る題字を見つけながら散策するのも楽しいでしょう。

 参考文献:會津八一記念館カタログ