山中にて幽人と対酌す・李白(4)秋艸道人を臨書して

4.気が向いたら

祥香臨

 「明朝有意抱琴来

書き下し文は、「明朝 意あらば琴を抱いて来たれ」

意味は、「明朝、気が向いたなら、琴を持ってまた来てください。」

「有意」:その気がある。
「琴」:弦楽器の一種。胴を桐で作り弦を張ったもの。手軽に持ち運べるサイズの事。

この句も陶淵明の話を踏まえ、彼が酒を飲んで興に乗ると持っていた弦の張っていない琴を、弾いていたところからきています。

書の鑑賞:「明朝」の「朝」の偏を左に貼り出して余白が生きています。
     「有」は二行目に沿うように細くしっとりと書かれています。気が向いたら、という
      意味が表されています。

     「琴」は下部を小さく抑えて、楚々とした風情です。
     「来」は縦長の字形で、左へ働きかけて動きを出しています。

 参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社