料理人の話を聞いて君子は(4)荘子を書く
4.視線は集中して
ただ、そうやすやすとできるわけではない、ということを庖丁は語ります。
「雖然毎於族、吾見其難為、怵然
為戒、視為止、行為遅、
動刀甚微、(言桀)然己解如土
委地」
大意は、しかしながら、私は筋や骨の固まった部分では気持ちをひきしめて、そのために視線は一点に集中して手の運びは遅くし、牛刀の動かし方も微妙にします。
やがて、肉が離れると、まるで土くれが大地に戻ったかのようで、ごく自然なのです。
すでに、庖丁の話は単なる料理人の域を超えて、迫ってくるものがあります。
参考文献:荘子 金谷治校注 岩波書店