自然のいとなみを詠う(1)建礼門院右京大夫集から

1.帰ってゆく雁

  建礼門院右京大夫集  祥香書

今回は、自然の風物をうたいます。
「くらき空の帰る雁」、暗い夜空を帰ってゆく雁の意味です。

 「花をこそ思ひもすてめ ありあけの
  月をまたで かへるかりがね」

選字は、「は奈越こそ於も日裳す弖ぬ阿利
     あ希乃徒支をまたてか邉る
     可里閑年」

歌意は、桜の咲く春をあきらめ、有明の月の出も待たずに帰ってしまうとは、
心ないことです。

この歌は参考にされた和歌がありますので、次回に紹介しましょう。
  参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社