弟子の黄庭堅はひたすらに(5)松風閣詩巻から

5.耳を洗うに

松風閣詩巻 黄庭堅筆 祥香臨

釈文:「洗耳不須菩薩泉
    嘉二三子甚好賢」

書き下し文は「耳を洗うに菩薩泉を須いず
       二三子の甚だ賢を好むを嘉し」

現代語にすると「その音に清められて、耳を洗うのに菩薩泉を用いる必要はない。君たちの優れた人物を慕う気持ちを喜んで」

鑑賞:「二三子」君たち、諸君の意。『論語』「二三子我を以て隠せりと為すか」とあることから。原文は「三二」とあるが、倒置の付号がある。とりわけ「三」の横画が長く左へ張り出して一気に書かず粘りがある。

参考文献:「漢詩と名蹟」 鷲野正明著 二玄社