変化に富む筋切を臨書する(2)古今和歌集第四巻

2.筆者は

古今和歌集第四巻首 藤原定実筆 祥香臨

筆者は、藤原佐理と伝えられていましたが、今日の研究によって異なることがわかってきました。

三蹟の一人である藤原行成の曾孫、定実の書と推定されます。定実は「元永本古今和歌集」(国宝、東京国立博物館蔵)などを遺した当代有数の能書でした。

定実は、平安後期の公卿。藤原伊房の長男で世尊寺流の祖である行成から四代目の当主です。官位は父の失態があり、はかばかしくはなかったものの、能書として幅広い活動を行いました。

「元永本」の他にも鳥羽天皇大嘗会の屏風色紙形、「西本願寺本三十六人集(人麿集、貫之集)などが真跡と推定されています。

参考文献:書の美 島谷弘幸著 毎日新聞社