建礼門院を訪ねて歌を詠む(4)建礼門院右京大夫集から
4.おいたわしいご様子に
釈文:「かかる御事を見ながら、なにの思ひ出なき都へとて、さればなにとて
帰るらむと、うとましく心憂し。」
選字は、「かヽる御事を
見奈可羅奈耳の思ひ出なき都へとて
佐連八奈にとて帰る無登うと万し
久心憂し」
大意は、「このようなおいたわしいご様子を拝見して、どうしても思い出のない
京都へ戻るのでしょうと、自らをうとましく情けない思いです。」
すっかりとお変わりになられた女院のお姿に、いたたまれない思いで歌を詠み
ます。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社