恋すれば私の身は（4）関戸本古今集を臨書して

4.篝火に

「篝火にあらぬわが身の
　なぞもかく涙の河にうきてもゆらん」

選字は、「かヽ利火爾あらぬわかみのなそ裳
　　　　　閑九なみ堂の可八爾う支てもゆら無」

こちらの二行は潤渇がはっきりとしている箇所です。「あらぬ」の「あ」で墨つぎをしていますが、「わ可」では渇筆となり消えいりそうです。二行目の「閑九」は渇筆が見せ場となっています。

選字は、平易で難しい変体かなはあまり使っていませんが、墨の量に変化をつけて印象的に
なりました。

　参考文献：関戸本古今集　二玄社