さっぱりとして欲が無く(4)五言律詩を書く

4.雲が谷を覆い

晩歸故園二首 祥香書

回雲覆陰谷
 返景照霜梨


書き下し文は、「回雲 陰谷を覆い
        返景 霜梨を照らす」

鑑賞:ここでは「陰」が太く大きく書かれ見応えがあります。下にある「谷」と熟語を
   形成しますが、「谷」は細線で左の空間へ働きかけています。「梨」は本字を元
   に書いてあり、「リ」の箇所を「勿」と書くものです。

現代語にすると、「雲は谷を回って覆い、夕日は梨の紅の葉を照らしています。」
自然の移り変わる様子が、見事に描写されています。

 参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社