雄大で勢いのよい仮名の古筆(1)今城切を臨書して
1.今城切とは
平安時代の名作、古今和歌集といえば「高野切」を思い浮かべる方も多いでしょう。
「高野切」は平安中期の流麗で優美な仮名として代表的ですが、今回ご紹介する
「今城切」は力強く骨力にあふれています。
「今城切」は大口周魚(明治時代から大正にかけて活躍した書家)が蒐集した
古筆から作られた手鑑『月台』に所収されていて、『古今和歌集』巻第十八・
雑歌下を書写した断簡です。
作者は古来、飛鳥井雅経と言われていましたが、実は藤原教長(1109−80)
と判明しました。一体どういう人物だったのでしょうか。
参考文献:書の美 島谷弘幸著 毎日新聞社