山中にて幽人と対酌す・李白(1)秋艸道人を臨書して

1.二人は向かいあって

李白作 秋艸道人書 祥香臨

漢詩を日本人が揮毫した個性的な作品をみて行きましょう。いわゆる活字を見慣れた身にはなんとも言えない温かみを感じることと思います。筆者の会津八一は、新潟の人で歌人・書家・美術史家です。号を秋艸道人。味わいのある書をよくしたといわれています。

 「両人對酌山花開
書き下し文は、「両人対酌して 山花開く」
意味は、二人は向かいあって酒を酌み交わす。そこに山の花が咲いている。

詩型は、七言絶句(七言古詩、または古絶とも言われる。)
「対酌」:向かいあって酌を酌み交わす
「両人」:二人、自分と幽人

李白が五十六歳の作との説がありますが確かではありません。
 参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社