山中にて幽人と対酌す・李白(2)秋艸道人を臨書して

2.一杯、一杯

祥香臨

一杯一杯 復一杯
書き下し文は、「一杯 一杯 復た一杯」

「一杯」と同じ語句が三回続くのですが、それぞれ異なる書き振りで変化をつけています。始めの「一杯」は「一」を太くがっしりと書き、「杯」は木偏をくずして書き、なめらかです。二番目の「一」はやや右上がりで、「杯」は細めで軽やかです。

二行目で三番目の「一」は小さくひっそりと書き、「杯」は辺を大きく左へ張り出して見せ場となっています。次々と杯を重ねる喜びが感じられるようです。

この「一杯一杯復た一杯」は近体詩の規則から外れている*①が巧妙に境地を詠っています。
出典:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社