恋の山路に迷う身には(2)建礼門院右京大夫集から
2.若草のような少女
「みな月を まてとちぎりし 若草を
むすびそめぬと 聞くはまことか」
選字は、「美な月を満弖と遅きり志利可
久佐乎む春比曽免ぬと支供者まこ
登可」
歌意は、「水無月の六月を待ってから一緒になるようにと約束していたのに、若草のような少女のもとへ通い始めたとは本当ですか。」
鑑賞:「草」と「むすび」とが縁語
「うら若みねよげに見ゆる若草を 人の結ばむことをしぞ思ふ」『伊勢物語』四十九段
まだ若い娘を若草にたとえて他の人と結ばれるのを残念に思う、という意の歌を踏まえ
てのことでしょう。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社