気持ちを軽く(4)リラックスして書く

4.自然な書
元来、中国では篆書・隷書を正峰で書いてきました。しかし、日本へ初めに伝来した書が王羲之の書法を中心としたものであったため、長らく日本では筆を傾けてかく書法が主流でした。

明治以降、中国書法に憧れを抱く書人の研鑽もあり、力強い篆書や隷書が広く知られることになりました。その影響もあってか、漢字やかなの大字部門にも筆を立てて書く運筆が数多く見られるようになりました。

運筆法には、このような変遷がありましたので、それを知らずに古典を臨書すると、戸惑うこともあるでしょう。例えば、王羲之の蘭亭叙を学び、関戸本古今集を臨書しますと、自然に王羲之の書に親しんでいることになります。

一方で、顔真卿の行書を学びますと、かなり線質が異なることに気づきます。かなにおいても、高野切一種は直筆系統ですが、同じ高野切でも二種は側筆系と言われています。

あまり囚われすぎては、不自然になりますので、自分なりの工夫が必要です。