恋にも様々あり題詠歌(2)建礼門院右京大夫

2.互いにつねに聞く恋

「互ひにつねに聞く恋」とは、互いにいつも相手の噂を聞くものの会うことができない恋、の意味です。

　「ありときかれ　われもききしも　つらきかな
　　ただ一すぢに　なきになしなで」

選字は、「ありと幾可連われ毛きゝし毛
　　　　　徒ら記可なたゝ飛す遅耳
　　　　　奈支に那しな傳」

選字に際しては、文字の大小や疎密を意識して書きますが、これまで臨書してきたものの中から、ふさわしい字を組み合わせています。

噂を聞くだけで逢うことのない恋、とはつらいのでないことにしたら、とは納得です。

　参考文献：建礼門院右京大夫集　新潮社