うぐいすの声にいざなわれて(1)和漢朗詠集を書く
1.鳥が早朝に鳴くのは
釈文:「鶏既鳴兮忠臣待旦 鶯未出兮遺賢在谷」鳳為王賦
書き下し文は「鶏すでに鳴いて忠臣旦(あした)を待つ 鶯いまだ出ずして遺賢谷に在り」
鑑賞:「忠臣旦(あした)を待つ」『左伝』宣公二年に、忠臣趙盾が主人の晋の霊公を諌めようとして、早朝盛服したが、まだ早く座して仮寝をしたとされる。
「遺賢谷に在り」遺賢は在野の賢人。政治が正しければ出仕し、悪ければ退いて山に逃れる。谷に隠れると言ったのは、鶯を遺賢にたとえたため。
参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫