旧暦三月三日桃に付して口ずさむ(4)和漢朗詠集から

4.空にたなびく霞は

釈文:「煙霞遠近応同戸 桃李浅深似勧盃」菅

書き下し文は「煙霞の遠近同かるべし 桃李の浅深勧盃に似たり」

鑑賞:「同戸」同等の酒量の意。戸は上戸・中戸・下戸の戸。「似勧盃」杯を互いに交わして酒を飲ませるようだ。

現代語にすると「空にたなびく霞は、花の色にうつり遠近ともに紅に染まり、酒量にたとえればちょうどいい酔い加減のようだ。桃李の花は濃く、薄く咲き、ちょうど盃を酌み交わして天を酔わせているようだ。」

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫