思ひがけない月夜の逢瀬(10)和泉式部日記を書いて

10.明るい月夜に

釈文:「これも、心づかひせられて、ものなどきこゆるほどに、月さし出でぬ。いとあかし。」

選字は「これ裳心つ可非せら連傳もの奈と記こ遊る ほと耳月散し出てぬい登阿閑志」

鑑賞:女が皇室の宮様をお迎えするに際し、室外にお出した藁座をお勧めたのではいささか気が引ける。

大意は「だから、女も意識されて、お話申し上げているうちに、月が出てきた。月はとても明るい。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社