心がはるか遠い境地にある(2)陶淵明・飲酒二十首其五より

2.なぜそのようなことが

釈文:「問君何能爾 心遠地自偏」
書き下し文は「君に問う 何ぞ能く爾(しか)るやと 心遠ければ 地自ずから偏なり」

鑑賞:「問君」君に〜とたずねる。人が問う。自問自答の用法。「何能爾」どうしてこのようにできるのか。書の「尓」は「爾」と同じ。

「心遠」心が俗界と無縁なはるか遠い境地にある。「地自偏」住んでいる土地がおのずから辺境になる。

現代語にすると「人は問う なぜそのようにできるのか、と。心が俗界と無縁なはるか遠い境地にあるから、住んでいる土地がおのずから辺鄙になる。」

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社