心がはるか遠い境地にある(3)陶淵明・飲酒二十首其五より

3.菊を摘み

釈文:「採菊東籬下 悠然見南山」
書き下し文は「菊を採る 東籬の下 悠然として南山を見る」

鑑賞:「採菊」菊を摘む。「採」を「采」とするものもある。「東籬下」東のまがきの辺り。「籬」は柴や竹で編んだ垣。「悠然」ゆったり。また、のんびりとしてのどかなさま。「見南山」南山(廬山)がふと目に入る。

現代語にすると「菊を東の垣根のあたりで摘み、ゆったりとして南山を望み見る。」

書の特徴:「採菊」では「採」で墨継ぎをして強調し、「菊」は細く柔らかく書いている。「東籬」では「東」に比して「籬」の細太が空気をはらんでいるようである。

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社