思ひ出の記-跋文(1)建礼門院右京大夫集を書いて
1.くりかえし思へば
釈文:「かへすがへす、憂きよりほかの思ひ出でなき身ながら、年はつもりて、いたづらに明かし暮すほどに、思ひ出でらるることどもを、」
選字は「可遍須可へ春憂支よ梨ほ可農思ひ 出てなき身那可ら年者徒毛り天 以多つら爾明かし久羅寸本とにおも飛出弖ら流ヽこと登」
鑑賞:「かへすがへす」くりかえし思えば、本当に。
大意は「本当に、この家集はつらいことより他に思い出がない身ですが、年月は積もって、むなしく1日を過ごしているうちに、思い出すことなどを」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社