有明の月、雲までも平通宗を思い出し(4)建礼門院右京大夫集を書いて

4.それにしても思い起こすのは

釈文:「など思ふに、また、
限りありて つくる命は いかがせむ むかしの夢ぞ なほたぐひなき」

選字は「なと思布爾ま多
か幾りあ里傳つ具る命盤い可ヽ勢む 無可し乃夢曽奈ほ堂久日難支」
歌意は「など思うにつけ、資盛が偲ばれて
定まっている寿命で亡くなるのはどうしようもないが、昔の夢のような出来事は例がなく、悲しいかとです。」

鑑賞:「むかしの夢」は既に詠まれた「さめやらぬ夢」に同じで資盛の死を指す。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社